<高校野球兵庫大会>◇15日◇2回戦

 育英の左腕・堀田健吾(3年)が、猪名川打線を2安打14奪三振で完封、6-0で2回戦を突破した。昨夏は関西学院、昨秋は神戸国際大付相手に2季連続して県大会決勝で苦汁をなめたエースが、雪辱の夏に好スタートを切った。

 自己最速141キロには及ばないが、ネット裏のスピードガンは137キロを計測した。右打者の内角をえぐるスライダー、外角に逃げ落ちるフォーク。西武、巨人のスカウトが見守る中、育英の堀田は2安打3四死球14奪三振の完封劇を演じた。14日、対戦相手・猪名川が学校周辺の大雨警報のため球場に来られず中止に。そんな珍事の影響を感じさせなかった。

 しかし、本人は不満だ。「ダメです。制球が悪い。逆球も多かった」。もう後悔したくないから、どうしても完ぺきを求める。

 昨夏、今春の甲子園を、エースとして2度逃した。夏は県大会決勝で関西学院に1-4。秋は県大会決勝で神戸国際大付に1-2。近畿大会は8強止まりでセンバツの選にもれた。

 特に神戸国際大付とは浅からぬ因縁がある。昨秋は県大会で敗れたが、県大会前の地区大会は延長14回で3-2。順当なら今夏4回戦で実現する対戦は“決着戦”だ。また昨夏、市神港のエースだった兄太さん(19)も3回戦で神戸国際大付に1-3で負けた。「今度勝った時は『兄の分まで頑張った、と言うてくれ』と頼まれてます」と笑う。

 今春からスタミナ&体力増を狙い、1日晩ご飯2回の大食い作戦を敢行。1回目は普通に、2回目は冷凍食品をレンジでチン。体重は4キロ増えて80キロになった。葉坂良一監督(54)は「継投も考えている」というが、堀田は違う。この日を含め、決勝までの7試合を「1人で投げたい」。育英、10年ぶり7度目の夏代表へ。三度目の正直を目指す左腕の挑戦が始まった。【加藤裕一】