<高校野球秋田大会>◇23日◇準決勝

 3年後に現校名が消滅する能代商が西仙北に3-2でサヨナラ勝ちし、25年ぶり2度目の甲子園に王手をかけた。24日の決勝で秋田商と対戦する。

 伝統の「NOSHO」ユニホームが歓喜に揺れた。3回戦で明桜、準々決勝で金足農を連破した勢いで3試合連続の逆転勝ち。この試合まで35イニング連続無失点の相手エース進藤拓也(3年)の前に、6回表まで0-2の劣勢だった。だが「2点差なら、ひっくり返せる」(吉岡達也主将=3年)とひるまなかった。6回の1点で記録を止め、8回に3連打で追いついて迎えた9回裏。1死から吉岡が右中間に三塁打を放ち、菊池飛鳥(3年)の決勝犠飛でサヨナラのホームを踏む。涙で顔をくしゃくしゃにして仲間と抱き合った。

 古豪復活へ負けられなかった。3年後の13年に女子校の能代北と統合し、現校名が消滅する。その前にもう1度、甲子園へ-。統合が決まり、ナインは学校のショーケース掃除を始めた。85年の県大会優勝杯が、ほこりをかぶっていた。過去の輝きを取り戻す戦いが始まった。

 25年。長く遠ざかっても聖地への思いは変わらない。今春、センバツの中京大中京(愛知)-盛岡大付(岩手)を観戦。中京大中京のホテルに同宿した。「昨夏、日本一になったチームと寝食をともにして、生活態度や意識の高さを勉強させてもらった」と工藤明監督(34)。目標は甲子園と再確認できた。

 25年ぶり2回目の優勝をかけて、決勝で秋田商と戦う。能代市-秋田市が高速道路の無料化対象となり、今大会は全5試合で全校応援を受けている。工藤監督は「粘り強く戦って、学校や能代市民の期待に応えたい」。追い風を背に、新たな歴史を刻む。【木下淳】