初の開幕1軍へ。日本ハム谷口雄也外野手(22)が、巨人とのオープン戦に「8番DH」で先発出場し3安打をマークした。シーズン本番を想定したオーダーで、慣れない指名打者に座り結果を残した。愛くるしいルックスで人気の5年目外野手が、楽天則本キラーを引っさげ、27日の開幕戦(札幌ドーム)へ向かう。

 開幕必勝のデモンストレーションでキュートな切り札が完璧に決めた。「かわいすぎるスラッガー」だ。美形タレント剛力彩芽にそっくりの谷口が、華やかな猛攻を演出した。2回1死一塁。巨人の開幕投手の格上、菅野の146キロ速球を中前へはじく。1ボール2ストライクと追い込まれたが、執念だ。ルックスとは対照的に、根性を秘めていた。準レギュラー格だが「常に準備を怠らない」の気迫が、一振りにこもった。

 猛攻へつなげる、くさびになった。希望の光をともした。2死後、1番西川が二塁内野安打で満塁。田中の走者一掃二塁打で、鮮やかな先制劇を決めた。この回一挙4点。下位から上位へ。谷口の理想的なお膳立てからオープン戦2勝目を呼び込んだ。笠原と沢村からも快音を重ねた。すべて右腕から3安打。5年目で初の開幕1軍の切符を濃厚にする、インパクト十分の固め打ちになった。栗山監督は「状態がよく見えた。(開幕1軍は)十分にチャンスがある」と、新戦力候補と認めた。

 ラストチャンスの試練だった。オープン戦の先発起用は2試合目。控え野手中心で臨んだキャンプ中の2月22日ヤクルト戦以来、公式戦で1度も経験のない「DH」と難役だった。「ビックリ。メチャメチャ差し込まれました」。目がクリクリする、動揺にも打ち勝った。27日の楽天との札幌ドームでの開幕戦の相手先発は則本。昨季は9打数6安打、打率6割6分7厘。この日は同じ右腕の菅野が先発で、仮想開幕戦とにらんで組んだ打線で抜てきされた。「相性がいいのは、監督からも言われている」。念を押された重圧も、打ち破った。初の開幕投手の大谷をアシストする秘密兵器に、急浮上した。

 戦力見極めが本格化した3月からベンチウオーマーになったが、本番想定のテストで満点回答で応えた。開幕まで残り3戦。打線がかみ合わない中で、潤滑油になった。脇役ながら主力を躍動させ、15安打9得点の快勝へ導いた。「年間を通しての最初の試合なので、そこに合わせていきたい」。自分へのご褒美のいちごオレを手に、ご機嫌で帰路に就いた。桜の季節とされる春。球界の「アヤメちゃん」から、開花予報が届きそうだ。【高山通史】

 ◆谷口対則本 昨年初対戦し、通算9打数6安打1打点、打率6割6分7厘と打ち込んだ。6月29日の初顔合わせから、7月27日、9月19日と対戦した3試合連続で2安打をマーク。中田5本、中島4本を抑えチームで最も則本から安打を放った。

<谷口の道のり>

 ◆入団 愛工大名電で高校通算44本塁打の長打力と、50メートル5秒7の俊足を評価され、10年ドラフト5位で日本ハム入団。

 ◆初出場 12年9月4日楽天戦(東京ドーム)に「2番右翼」で昇格即スタメン出場。8回の守備で強肩を披露した。翌5日には楽天釜田からプロ初安打、初打点をマークした。

 ◆剛力似 入団時からルックスに定評はあったが、14年春季キャンプでの活躍に合わせ、タレント剛力彩芽似のマスクにスポットが集まり始めた。他球団選手が「彩芽ちゃん」と呼ぶことも。

 ◆初アーチ 14年7月11日ソフトバンク戦(札幌ドーム)に摂津から左越えの初本塁打。勝利には結びつかなかったが、得意の逆方向への記念すべき一発だった。