乱戦に決着をつけた。西武中村剛也内野手(31)が8回2死満塁、走者一掃の二塁打を放ち勝負を決めた。セットアッパー増田達至投手(27)とクローザー高橋朋己投手(26)を完全休養させる制約付きの試合を打線がカバーし、ものにした。チームは4連勝で、今季最多の貯金6。投打で補い合える強さが、今の西武にはある。

 真ん中低めの速球に、中村は反応した。逆らわない右方向への打撃。鋭い打球が右中間を割る間に、3人の走者がホームを駆け抜けた。「フォアボール、フォアボール、デッドボールだったんで、相手投手も苦しいと思った。甘い球が絶対来る。それを1球で前に飛ばそうと思ってました」。同点に追いつかれた直後の4番の仕事だった。

 この日は制約のかかった試合だった。「勝利の方程式」を形成する増田と高橋朋がそろって3連投してしまったため、完全休養の予定だった。いつもなら楽に逃げ切れる8回3点リードの展開も、どうなるか分からなかった。中村も「(2人の休養は)知らなかった。8回に(岡本)篤さんが行ったんで、アレ? って思って、それで気が付きました」。投手陣の駒不足を打撃でカバーした。

 この日、菊池は中5日での先発だったため100球がメド。リリーフ陣で勝負しなければいけないことが目に見えていた。しかし2人の休養に加え、試合前の入れ替えで、なぜか投手を1人減らして野手を登録していた。つまり前日の試合よりも3人投手が少ない中で戦っていたことになる。厳しい状況の中での綱渡りの勝利に田辺監督は「同点に追いつかれた時はヤバイって思ったけど、いいつなぎでこういう結果になった。非常に大きい」と打線を褒めた。

 試合後のクラブハウスでは同点に追いつかれるきっかけとなった脇谷の失策を笑える余裕があった。負ければ浮き彫りになったかもしれない計画性に欠けた選手起用も、すべては結果オーライになった。中村は「チームとして、どれだけいい形で勝っていけるかだと思う。これからもこういう形でやっていければいい試合ができる」と言った。すべてのミスを4番のひと振りが帳消しにした。【竹内智信】