みたか! やーと出た3号-。ソフトバンク高谷裕亮捕手(33)が08年以来、7年ぶりとなる1発でチームを交流戦2カード連続勝ち越しにと導いた。1点差に詰められた4回、右翼席へプロ通算3号2ランを運び勝利の流れをグイッ。打った本人も驚きのアーチで、先発寺原の2勝目を援護した。チームは交流戦首位タイに浮上した。

 懐かしい余韻に浸りながら、ダイヤモンドを回った。高谷が4回1死一塁からヤクルト石山の失投を完璧に捉えた。打球は右翼席に飛び込む1号2ラン。1点差に詰め寄られた展開で勝利の道筋をつけた。

 「フォークが抜けてきたのがうまいこと引っかかってくれた。まさか本当に入るとは思わなかった。テラ(寺原)も頑張っていたのでうれしいです」

 実に08年7月22日オリックス戦以来、7年ぶり。打率1割台の男は自分でも驚く快音だった。守っても初回、藤井の二盗を阻止。先発寺原を5回2失点に導き、救援陣にも強気の配球でツバメ打線を封じた。

 工藤監督も最敬礼だ。「7年ぶりだそうで、おめでとうございます。1点差になってところだったので貴重な本塁打だった。向こうの士気も少し落ちた」と、伏兵の1発に感謝した。29日に正捕手細川が1軍に合流。指揮官は「細川が戻ってきて(捕手の先発を)大きく変える必要はない」と話す中、少ない出番で結果を残した。

 開幕は2軍スタート。細川が故障で出遅れたが、1軍捕手は鶴岡、斐紹、拓也の3人。実質5番手だった。「悔しさがないと言えばうそになるけど、シーズンは長いので1回も上がらないことはない。気持ちが沈んでいかないよう、与えられたところでしっかりやろうと思っていた」。

 チームメートの物まねが得意。場を和ませる明るいキャラだが、オフには自宅から約1時間かけて自転車で西戸崎合宿所に通うなど、日ごろから足腰強化を怠らない努力が結実した。

 初回は2四球を絡め、内川の先制打など3安打で3得点。指揮官は「初回は皆でつないで3点は大きかった。いい攻撃でした」と手応え。相手ミスを得点に絡める効率的な展開に目を細めた。明日2日からはセ・リーグ首位DeNAとの3連戦。高谷は「また気持ちを新たに頑張っていきたい」。過去4度制した得意の交流戦でタカが上昇気流に乗った。【福岡吉央】