プロ野球ドラフト会議が22日、東京都内で行われ、北海学園大の川越誠司投手(4年=北海)が西武から2位で指名された。高校で野球をやめる予定が一転、創部65年目の同大で初のプロ選手誕生へ。「びっくりして、頭の中が真っ白」と上位指名でのサプライズに目を丸くした。大学時代に挑戦した「4番投手」の“二刀流”は卒業、球団が希望する投手として活躍を目指す。

 願ってもないサプライズに、興奮はマックスだった。「こんなに早く指名してくれると思わなくて、動揺しています。頭の中が真っ白です」。北海学園大の会議室に集まった部員の前で、まばゆいフラッシュの嵐に照らされた顔は、喜びに輝いていた。無理もない。最終学年の今年は、春も秋も故障に泣き、ほとんど公式戦に出られなかった。「あっても4、5位かなと。夢がかなって、うれしい気持ちでいっぱい」と、声を弾ませた。

 高校野球の名門・北海時代は、11年センバツで決勝アーチを放つなど、俊足強肩に強打の外野手として活躍も、投手としては芽が出なかった。大学入学後に投手に再挑戦。最速148キロの力のある直球が持ち味で、投手も野手もこなせる「4番投手」の“二刀流”として、プロの注目を集めた。札幌6大学リーグでは昨春、初勝利を挙げたばかりで、投手としての実績はほとんどないが、今回、西武側からは投手としての指名。「もう今は、投手のことしか頭にない。後をしっかり任せられるような投手になりたい」と、チームの弱点ともいえるリリーバーとして、大輪の花を咲かせる覚悟を決めた。

 運命を、感じている。当初、野球は高校で終える予定だった。高3時に消防士の父・祐治さん(48)の後を追い、消防士の試験を受験。だが、不合格に。系列の北海学園大に進み、今や創部65年目で初のプロ選手になろうとしている。「こういう人生もあるんですね」。今年、唯一、札幌ドームで観戦した試合も、日本ハム-西武。西武が逆転勝ちした試合だった。

 昨秋から筋トレに熱中した“ガチマッチョ”。広背筋などを鍛えるデッドリフトでは、260キロを軽々と上げる。この日も、取材中に手にして愛飲していたのは、紙パック入りのプロテインだった。「これ(筋肉)が、支えなんです。しっかり体作りをして、夏には1軍に上がりたい」。不完全燃焼に終わった大学時代の鬱憤(うっぷん)は、プロのマウンドで晴らす。【中島宙恵】

 ◆川越誠司(かわごえ・せいじ)1993年(平5)6月30日、札幌市生まれ。札幌豊平小2年から野球を始める。札幌八条中では、札幌豊平東シニアで投手。古豪・北海では主に外野手で活躍し、11年のセンバツでは決勝ソロを放った。大学では主軸として活躍したが、3年時に本格的に投手として復帰。最速148キロ。50メートル走5秒9、遠投120メートルの俊足強肩を誇る。175センチ、80キロ。左投げ左打ち。家族は両親と妹。