キャンプインを目前に控え、金本阪神にショッキングな事件が発生した。オリックスからFA移籍し、中堅手レギュラーを期待される糸井嘉男外野手(35)が24日、春季キャンプを別メニュー調整で始めることが決まった。自主トレで右膝に違和感を覚え、この日、大阪市内の病院で「右膝関節炎」と診断された。超人糸井にとっては古傷の再発で、大きな不安材料を抱えることになった。

 金本阪神に、衝撃が走った。目玉補強で獲得した糸井に、アクシデントが発生した。トレーニング中に、右膝に違和感を覚え、この日、大阪市内の病院で検査を受けた。球団は「右膝の関節炎」と診断されたことを発表。沖縄・宜野座の1軍キャンプに同行する方針は変わらないが、当面の間、別メニューで調整することが決定した。

 思わぬ暗転だ。オリックスからFA移籍し、オフはグアムなどでハードな練習を続けていた。同行したソフトバンク柳田が「えぐいですよ。あんな36歳は日本国内にはいない」とあきれるほど順調に調整を進めていた。金本監督も「レギュラーは糸井と(福留)孝介だけ」と断言。中堅レギュラーを託すキーマンはキャンプ初日から、その動向が大きく注目されるはずだった。

 糸井にとって右膝痛は、古傷の再発とみられる。オリックス時代の13年には、シーズン中に「内側側副靱帯(じんたい)」を損傷。それでも欠場を選ばず、本塁打を放つなど、痛みをはねとばす姿は超人さながらだった。だがその後も右膝痛に悩まされ、昨年の春季キャンプでは実戦に出場せず、スローペースで仕上げながら開幕を迎えた。

 異例のキャンプ別メニュー調整スタートだが、今回は軽症の模様だ。球団関係者は「靱帯(じんたい)や半月板を痛めたわけではない。古傷でもあるし、大事を取ってのこと。無理をされても困る」と話す。金本監督も広島から阪神に移籍した初年度のキャンプでアクシデントに見舞われた経験がある。03年春のキャンプで右ふくらはぎを痛め、別メニュー調整。タテジマデビューが3月にずれ込んだ。それでも開幕にきっちりと照準を合わせ、3番打者として、リーグ制覇に大きく貢献した。糸井も同じパターンで活躍すれば、問題はない。

 ただ、福留と並んで2人しか確約されていないレギュラーの1人が負傷。新天地でのキャンプで動きが制限されるのは糸井にとっても痛手で、連係プレーなどを磨くチームの練習にも影響は少なくない。

 ◆糸井の右膝痛 日本ハム在籍中の11年シーズン終盤に蓄積疲労で欠場するなどしてきた。オリックス移籍後の13年5月3日ロッテ戦で盗塁した際、右膝をひねって途中交代。「内側側副靱帯(じんたい)損傷」と診断され、数試合は守備に就かず、指名打者や代打での出場を余儀なくされた。16年春にも患部の影響を考え、2月中の紅白戦やオープン戦出場を見合わせた。