則本は「3、4球で三振を取れれば一番リスクが少ない。球数が少なくなるし、自分も乗れる」と理想を掲げ、常に完投をイメージする。早いカウントからも使える勝負球として、シーズン中にスプリットを習得した。この日は4球以内に三振を奪った数は7個。うち3球三振は2度あったが「もっと3球三振を増やしていきたい」と究極の投球を追い求める。

 下半身に秘密がある。ヤンキース田中や則本の自主トレに同行する星トレーニングコーチによると「軸足(右足)の柔らかさが飛び抜けている」と言う。「投球時の体重移動、リリースを支える軸足の力の内旋(ないせん)が、普通の人の角度は40度くらい。でも、2人は70度。特に則本は下半身がすごい」。球威がありながら制球が乱れない理由である。

 次回登板では新記録の更新が期待される。交流戦の6月1日巨人戦に先発する予定だ。「取れる時は取れるし、取れない時は取れない。とにかく勝つことが全て」。三振はアウトの1つ、チームの白星を追い求める。【栗田尚樹】

 ▼楽天則本が10三振を奪い、4月19日西武戦から6試合連続2桁奪三振。91年野茂英雄(近鉄)のプロ野球記録に並んだ。6試合の奪三振数と奪三振率(1試合平均=9回あたりの個数)を比較すると、野茂が61個(11・2個)、則本が66個(12・6個)と則本の方がハイペース。期間中、クリーンアップトリオからの奪三振数は野茂22個、則本31個で、則本は中軸からも稼いだ。