全日本大学野球選手権(神宮ほか)の開会式が4日、都内で行われ、仙台育英(宮城)OBの3主将が再会を果たした。富士大(岩手・北東北)の小林遼主将と東北福祉大(仙台6大学)の菊名裕貴主将に加え、立大(東京6大学)の熊谷敬宥主将(いずれも4年)はソフトバンク上林誠知とともに3季連続で甲子園に出場した同期だ。富士大は今日5日の1回戦で福岡大(九州6大学)を撃破すれば、2回戦で立大との対決が実現する。高校でグレーのユニホームを身にまとった男たちが、大学日本一をかけて戦う。

 開会式が、同窓会に早変わりした。高校卒業以来、4年ぶりに3人同時の再会を果たした小林は、式が始まる約30分前から控室で思い出話に花を咲かせた。「くだらない話ですよ。懐かしかった」と旧交を温めつつも「熊谷と戦いたい気持ちが強い。1回戦は絶対勝たないといけない」とすぐに主将の顔に戻り、気を引き締めた。

 小林の脳裏には自然と、仙台育英での3年間が再生されていた。「思い出の試合はやっぱりあれですかね…」。13年夏の甲子園の初戦で、同年のセンバツ王者浦和学院(埼玉)と激突した。熊谷のサヨナラ打で11-10と制したが、2回戦で敗れて優勝には手が届かなかった。かつて全国制覇を誓い合った戦友たちが、別の大学の主将として大学日本一を争う状況に、小林は「偶然というか、全国で再会できるとは思ってなかった。すごいこと」と驚きを隠さなかった。

 この日、日米大学野球に出場する大学侍ジャパンに、熊谷とともに選ばれた。小林は「中学のシニアの東北選抜から一緒。大学でも一緒にやるのが夢だった。楽しみ」と顔が緩んだ。だが既に視線は2回戦の立大戦に向かっており、捕手として「熊谷を塁に出すと、相手のペースになる」と、今季リーグ最多9盗塁の熊谷の足を警戒した。

 リーグ優勝を決めた翌日(5月29日)に、小林は恩師の仙台育英・佐々木順一朗監督(57)に電話報告をした。「期待してるぞって言われた。余計に熊谷に負けられなくなった」。同期の絆が太いからこそ、燃えない理由がない。【高橋洋平】