昨年8強の東海大北海道が強豪東洋大を7-2で下し、3年連続で初戦を突破した。2回1死。5番今川優馬中堅手(3年=東海大四)が、右中間スタンドに今大会第1号となる先制アーチを突き刺した。「完璧な当たりだった」。東洋大のプロ注目右腕、飯田晴海(4年=常総学院)の出はなをくじいた。

 努力が生んだ本塁打だった。東海大四(現東海大札幌)では少数派の軟式出身ながら、14年夏の甲子園では代打で安打を放った。大学では層の厚さもあり、昨年の全日本選手権ではボールボーイ。1年後、やっとベンチ入りをつかんだ。6人きょうだいの長男。前日に弟妹全員から無料メールアプリ「LINE」で励まされ発奮した。

 今年3月、練習試合で右足首靱帯(じんたい)を切断。全治1カ月と診断されたが、「全然問題ない」と、5月中旬の春季リーグ第2節から強行出場した。高橋葉一監督(51)も「キャンプから今年にかける思いがあった。努力の人間」と評価する。

 今川の先制パンチで打線が爆発した。4回には4本の長短打で一挙4得点で突き放した。飯田対策のために、投手を2メートル手前から投げさせた打撃練習が成果を生んだ。今川は「飯田さんとやれるのが楽しみだった」と笑みをこぼした。

 4度の優勝を誇る強敵を破っても、今川は「チームとしては日本一が目標。ここで気を抜かず、1つずつ勝ちたい」と気を引き締める。まずは2年連続8強入りへ、明日7日に桐蔭横浜大(神奈川)と激突する。【浅水友輝】