負傷前より足が速い?阪神西岡剛内野手(32)が11日、昨年7月の左アキレス腱(けん)断裂後初となる実戦守備についた。甲子園で行われたウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦に1番遊撃で先発。スタメンのアナウンスが流れると、2軍戦ながらも集まった3217人の観衆からどよめきが起こった。

 見せ場は守備よりも走塁にあった。1回裏、先頭打者で打席に入ると投前に意表をつくセーフティーバント。アウトにはなったが一塁まで全力で駆け抜けた。昨年7月に腱を断裂した、あの甲子園の一塁ベース付近を力強く踏みしめた。ベンチから見つめた掛布2軍監督は「最初の打席のバント、全力疾走で安心したよ。打撃練習でバントをやってたからあると思ってたけど、いきなりやるとはねぇ。今日はあれが全て、THIS IS NISHIOKAだよ」と独特の表現で褒めたたえた。

 苦しいリハビリを乗り越え、この日を迎えた西岡の手ごたえは想像を超えていた。「(今日は)楽しかった。ケガする前よりもはるかに今の方が良い。アキレス腱が切れてくれたおかげで状態が上がって肉体が元に戻った。(足も)速なってる」。実際に速くなったのか不明だが、本人の感覚は負傷前を超えたということだろう。

 遊撃での守備機会はゴロと飛球が1つずつ。無難にこなし、5回が終わって交代。「(ショートもできれば)全ポジションで出られるというアピールと、そこまで状態を上げたんやと言われるように」と力強く語った。

 13日からの2軍名古屋遠征でも2試合はDHで出場し3試合目は外野守備にもつく予定だ。交流戦後の1軍練習に合流するプランもあるが2軍戦でのフル出場をクリアすれば待望の1軍復帰となる。