ボールは左翼フェンスのラバー部分にあいていたと思われる穴に吸い込まれていた。まさに“前代未聞”の出来事。ラバーフェンスは柔らかくフェンスをよじ登る練習などを行うと傷がつきやすいが「ボールがラバーを抜けるというのは初めて(の経験)」と橘高審判員も驚いた。二塁打とされ、無死二塁で試合が再開。神隠しの力を借りるように打線がつながった。

 菊池のバント内野安打で好機を拡大すると、無死一、三塁から丸の適時二塁打で先制。鈴木、松山と犠飛で追加点を奪い、3戦2敗だったメッセンジャーから3点を先制した。3回にも鈴木の適時打、松山の犠飛で追加点を奪い、4回でメッセンジャーをKO。5回には丸、エルドレッドが2ラン。さらに菊池が自身4本目となる満弾を放ち8点を奪った。

 終わってみれば今季最多の17安打今季最多の13得点で快勝。3安打3打点で打率を3割3分8厘とし、リーグ首位打者となった丸は「ホームだし、まずは先制点でこっちのペースに持っていければと思った。本塁打はたまたま。つなぐ意識でした」と涼しい顔。2位阪神を4ゲーム差に突き放し緒方監督も「初回からすごい集中力をもってやってくれた」と頬を緩めた。ちなみにラバーフェンスは5回に補修材を張って応急処置。“地の利”を生かして、広島が勢いに乗った。【池本泰尚】