チーム一丸でもぎ取った。試合後、梨田監督は「どうなることかと思った」と息を吐いた。エース則本が、まさかの想定外だった。初回に内川に先制の適時打を許すと、2回には9番上林に1発を浴びた。3回にも犠飛で1点を失った。梨田監督が「3イニング連続で失点する則本は見たことがない」と言うほど、自慢の直球で空振りが取れなかった。それでも、辛抱強く投げた。5回には柳田、内川、デスパイネのクリーンアップを3者連続三振。6回6安打4失点の内容で降板すると「調子自体は悪くなかった。打線を信じて我慢強く投げました」と祈るように、戦況を見つめた。

 誰ひとりとして、諦めてはいなかった。4点ビハインドの6回にペゲーロが19号ソロを放つと、7回には相手の失策とウィーラーの適時打で同点に追いついた。エースの頑張りを、無駄にしたくない-。その一心で4点差をはね返した。試合後のベンチ裏では「よっしゃー」と叫ぶ声が響き渡った。日本一を決めた13年以来、4年ぶりに前半戦の首位ターンを決めた。【栗田尚樹】

 ▼楽天が4点差を逆転し、13年以来2度目の前半戦首位を決めた。楽天の4点差以上の逆転勝ちは、4月2日オリックス戦(0-4→5-4=V打ペゲーロ)5月17日日本ハム戦(0-5→15-6=V打銀次)7月9日西武戦(0-4→5-4=V打銀次)に次いで今季4度目。逆転勝ちはリーグ4位の15度目と決して多くない楽天だが、4点差以上の逆転は広島の3度を抜いて両リーグで最も多い。この日のV打は銀次。銀次のV打は今季3度目となったが、5点差逆転の日本ハム戦、4点差逆転の西武戦、4点差逆転のソフトバンク戦と、3度すべて大逆転試合で記録している。