阪神西岡剛内野手(32)が帰ってきた。昨年7月20日の巨人戦(甲子園)で左アキレス腱(けん)を断裂してから362日ぶり。17日に出場選手登録されると、後半戦開幕の広島12回戦(甲子園)で、いきなり「1番一塁」として先発出場し、5回には今季初安打を中前へ放った。

 金本監督が「新しい風を」と逆襲の起爆剤として期待する男が、首位広島を2-1で下す勝利に導いた。西岡は「(昨年に)野球を続けると決めてから、甲子園に戻ってくることがモチベーションだった。どんなヒットでもうれしい」と泥臭く、聖地に帰ってきた。

 初回には、初球を三塁線へセーフティーバントを試みた。走りながらバットにボールを当て、全力疾走で一塁を駆け抜けた。わずかに切れてファウルとなるも「走れる姿」を見せつけた。「アキレス腱を切ったから、スピードが落ちたと見られがち」と、スピードスターが完全復活を印象づけた。

 リハビリ生活を終え、実戦復帰した直後、西岡は他の選手よりも先に鳴尾浜をあとにすることがあった。ベテランだから先に帰るのか…。違った。さらなる練習場に移動していたのだった。目的地のジムに到着すると、すぐさまトレーニングを開始する。徹底的に鍛えたのは「太もも」だった。同行した関係者は「(故障で)細くなってしまった部分もある。スリムだけど太ももは引き締まってます。ジムでバンバン鍛えてますから」と証言した。

 復帰戦を白星で飾った。「チームが負けると立場的にも嫌だった。とにかく勝ってよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。ここから躍動する。【真柴健】