雨に泣いた。広島薮田和樹投手(24)が、ヤクルト16回戦(マツダスタジアム)で6回6失点。先発転向後初黒星となる今季2敗目を喫した。5回まで2失点で踏ん張ったが、再び雨が降り出した6回に2本塁打を浴びて4失点。中継ぎ時から続いていた連勝は8で止まった。10勝到達もお預け。それでも今季安定した投球を続ける右腕は次回登板に向けて、懸命に前を向いた。

 試合の行方を決める白球がセンターバックスクリーン左に吸い込まれると、本塁のベースカバーに回った薮田は思わず「マジか…」と口にした。1点ビハインドの6回。1死一塁から名手菊池の後逸で二、三塁とピンチを広げた直後の初球カットボールが甘くなり、山田に仕留められた。さらに続く大松にも被弾し、今季最多6失点。先発転向後初黒星となる2敗目。5月10日からの連勝が8で止まった。

 プレーボールと同時に雨が降り出した1回、バレンティンに先制ソロを浴びた。5回に勝ち越しを許すと、6回に再び雨が降り出した。薮田は「気にならなかった」と言うものの、抜け球が目立つようになり、1死から2番山崎に1球もストライクが入らず四球。味方のミス直後は気持ちの切り替えができないまま2被弾を喫した。

 マウンド状態の変化は手元を狂わせる要因になる。踏み出した左足でブレーキをかけるように力を爆発させる薮田にとって、特に滑りやすいマウンドは持ち味を消してしまう。降雨ノーゲームとなった6月24日阪神戦(マツダスタジアム)は4回6安打1四球3失点だった。不安定な姿を露呈した。

 もちろん雨だけが原因ではない。決勝点となった5回の失点は、2死三塁で8番打者に痛打された。次打者が投手と考えれば不用意だった。「1球の大切さをあらためて感じました」。反省が残る内容にも、緒方監督は「バッテリーを含めていい経験としてつなげてくれればいい」と成長を促した。

 先発初黒星にも薮田は「こういう負けは一番勉強になるし、大事だと思う。次はしっかり勝てるようにしたい」と前を向いた。再び10勝目がかかる次回は中5日での登板も考えられる。「中継ぎの方がしんどい。もっと長いイニングを投げられるようになりたい」。敗戦の悔しさを知ることで、また1つ強くなれる。【前原淳】