格別な誕生日プレゼントとなった。楽天梨田昌孝監督が、64回目の誕生日を最高の形で迎えた。サヨナラ勝ちで、チームの連敗は「3」で止まった。昨年の誕生日は、オリックス相手に完封負けを喫していた。それだけに「連敗している中、よく勝ってくれた。忘れられないですね」。しみじみとかみしめた。

 花を添えたのは、チーム随一のムードメーカー・阿部だった。1点を追う9回1死満塁から聖沢の犠飛で同点とすると、2死一、二塁から阿部が右中間へ勝ち越しの打球を飛ばした。「ちゃんとバットに当たっていれば、ホームランでした。だから、かすりました」と笑ってみせた。試合後には、なぜか「梨田監督 誕生日おめでとうございます」のボードを持って、グラウンドを1周。お立ち台では「自分の名前入りのタオルが少ないですね。半額にします。半分は自分が持ちます」。常に陽気な男が、梨田監督とハグした。

 チームは前夜、西武相手に今季初の同一カード3連敗を喫した。この日の試合前、球団職員や報道陣から誕生日の祝福を受けた梨田監督はケーキを目の前に「こんなにケーキ(景気)のいい話があればいいけど」とため息をもらしていたが、不穏な空気をチーム一丸でかき消した。報道陣から日本酒「優勝」を受け取った梨田監督は「これは優勝したときにしか飲まない」と13年以来、4年ぶりの優勝を改めて宣言。勝利の美酒を味わうまで、勝ち続ける。【栗田尚樹】