巨人が執念で価値あるドローをつかんだ。0-2の8回に陽岱鋼外野手(30)の適時打で1点差に迫ると、9回には長野久義外野手(32)が同点打。劣勢をはねのけ、延長12回引き分けに持ち込んだ。2位阪神との3連戦は1勝2分けで、6年連続の阪神戦勝ち越しを決めた。CS争いを演じる4位DeNAが敗れたため、ゲーム差を1に広げ、明日16日から今季最後の直接対決2連戦を迎える。

 土俵際で巨人が勝負強さを発揮した。1-2の9回2死一、二塁。それまで3打数無安打だった長野が、阪神ドリスの初球を強振し、三遊間を割った。敗戦寸前からの同点打に、三塁側ベンチが大いに沸いた。長野は「みんながつないでくれたチャンスで打てて良かった」とチーム一丸を強調。勝ちきることこそできなかったが、高橋監督も「攻撃ももう1点とれなかったけど、最後はよく粘ったと思う」とねぎらった。

 落とせない一戦だった。11年連続のCS進出に向け、エース菅野を中5日でたてた。だが初回に2失点。前日に15安打7得点の打線も、阪神秋山に6回4安打無得点と沈黙した。阪神が7回から勝ちパターンの投手リレーを繰り出し、敗戦の色は濃くなりはじめた。

 そんな状況を主軸が打破した。8回に陽が風穴をあけると、9回1死から阿部が右翼フェンス直撃の二塁打で追撃ムードをあおり、最後は長野が仕留めた。中継ぎ陣も無失点で耐えた。高橋監督は「なんとか(同点)という形に持ってこられたかなとは思う。みんなが粘ってくれた。それぞれがいい投球をしてくれた」と粘り腰を評価した。

 阪神3連戦は計33イニングを戦い抜いて1勝2分け。16日からの勝負のDeNA2連戦を、1ゲーム差に広げて迎えられる。高橋監督は「追いかける方だから全部勝たないといけないところですけど、負けなかったというところも良しとする部分はある」と、うなずいた。【浜本卓也】