阪神大和が、掛布2軍監督のラストゲームに花を添える2安打2打点をマークした。4点を先制した3回、なお2死一、三塁の好機。追い込まれたが、井納が投じた内角高めの速球を左前に運び、三塁走者を生還させた。6回にも適時打を放ち、いずれも今季から取り組む左打席で結果を出した。「つなごうと思っていました」。横浜の地から、この日限りでユニホームを脱いだ恩師に感謝した。

 「掛布さんに2月のキャンプでずっと教えていただいたおかげで、こうして今試合に出られているんで」

 12年目の今季、俊足を生かすためスイッチヒッターに転向した。29歳にしての挑戦は異例だ。春季キャンプは安芸での2軍スタートだったが、熱心に指導してくれたのが、掛布2軍監督だった。通常練習はもちろん、特打にも付き合い、一緒に汗を流してくれた。掛布2軍監督も「捨て身なんだろうね。だから強いと思うよ」と成功を確信していた。 「基本の基本をこれからもやっていきたい」。掛布2軍監督の教えを胸に、CS進出決定に一役買った。恩返しのヒットを日本一まで奏で続ける。【山川智之】