巨人を自由契約となった村田が、裸一貫での再出発を誓った。16日、発表後初めて、川崎市のジャイアンツ球場を訪問。秋季練習前の高橋監督らへのあいさつと荷物整理を行った。「寂しさはあるけど、そう言っていても前に進めない。気持ちを整理して前に進んでいきたい」と顔を上げた。

 通算2000安打まで残り135本。目標の1つにしてきた大記録だが「達成できればいいけど、必要と言ってくれたところでベストを尽くすだけ」と、個人記録へのこだわりは脇に置いた。「絶対にレギュラーというのは強くはない。置かれたポジションで真摯(しんし)に向き合いながら野球がしたい」。男は黙って、勝利に貢献するためだけにプレーする覚悟だ。

 11年オフ、横浜(現DeNA)からFAで加入。世代交代の波に押し出された格好だが、仲間には暗い顔は見せず気丈に振る舞った。定位置を争った岡本は宮崎でのフェニックスリーグ参加中だったが「困った時には頼ってくれれば」とおとこ気メッセージを残した。「巨人に来て1点を取るうまさだったり、1点を守る強さを肌身で感じることができた。いっぱいアウトにもなったしヒットも打てた(笑い)。来て良かったと思います。この経験を次につなげたい」。新天地を求め、男・村田が巨人に別れを告げた。【浜本卓也】