プロ野球ドラフト会議が明日26日に行われる。東北を離れ、茨城の地で夢をかなえようとしている最速148キロ右腕がいる。筑波大(首都)の大道寺拓(4年=弘前)は投手転向わずか約2年でプロ入りを狙う。実現すれば青森・弘前高校からは初となる。「弘高出身は自分のアイデンティティー。進学校からプロに行くから価値がある。前例のない選手になりたい」と意気込む。

 体育教師を目指すために進学した筑波大で急成長した。2年夏に父母会の余興で登板すると、141キロをたたき出した。同秋から正式に投手へ転向し公式戦初登板。筋トレで68キロから77キロまで増量した3年春には自己最速148キロをマークし、一躍ドラフト候補に躍り出た。「投手は1度やりたかったけど、通用するとは思ってなかった。自分でもびっくり」と回想する。

 リズムよく投げる直球に、カーブ、スライダー、ツーシームを器用に操る。チームでは一貫して抑えを任されている。今秋のリーグ戦は8試合に登板し、12回1/3を投げ自責0とアピールを続けた。今年6月には地元弘前で、29年ぶりにプロ野球が行われた。「はるか夢球場で投げてみたい。直球が売りなので、制球を磨いて厳しいコースを狙って三振の取れる投手になりたい」。夢をかなえて、地元に凱旋(がいせん)してみせる。

 ◆大道寺拓(だいどうじ・たく)1995年(平7)5月26日、青森・弘前市生まれ。桔梗野小3年から野球を始め、小6で選出された楽天ジュニアでは主将。弘前四中では弘前シニアに所属。弘前高では3年夏の県大会準優勝。筑波大では2年秋に内野手から投手転向。176センチ、77キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、祖母。