ヤクルトから3位指名を受けた岡山商大の蔵本治孝投手(4年=神戸国際大付)は驚きを隠さなかった。「まさか自分がこんなに早く呼ばれると思わず、びっくりです」。同僚の近藤弘樹投手が楽天から早々に1位指名を受け「自分が呼ばれなかったら、悪い雰囲気になるな」と居心地が悪かった記者会見のひな壇で「呼ばれてホッとしてます」と最高の笑顔をみせた。

 異色の経歴でプロの世界に飛び込む。高校時代は3年間ベンチ外で、外野手登録だった。大学で最速151キロの本格派右腕に成長したが、赤木貫人監督(39)は「(大学に)入ってきたときは、変化球も投げられず、フィールディングも全然だった」と振り返る。さらに2年前の11月には、右肘の再建術(トミー・ジョン)を受け、実戦復帰も今春だった。

 「今年から出てきた自分が、そんなに評価されていないと思っていた」のが3位の高評価。フィールディングにけん制と、投手としての課題は多いが、それも伸びしろのひとつ。馬力型のリリーフタイプで「どれだけ真っすぐが通用するか試したい。(ヤクルトは)最近低迷しているが、自分が戦力になって頑張りたい」と救世主の活躍を誓った。【実藤健一】