ソフトバンク内川聖一外野手(35)が史上初の「CS&日本シリーズMVP」に挑む。今日28日開幕の「SMBC日本シリーズ2017」前日練習(ヤフオクドーム)を終え、自身3度目の大一番に挑む熱い思いを口にした。CSファイナルSでは4戦連発の大活躍でMVPを獲得。日本シリーズでも「フォアザチーム」の精神で勝利を導けば、ダブルMVPが見えてくる。頼れる4番&キャプテンが新たな歴史の扉を開く。

 一番頼れる男が、言葉は冷静に、熱い思いを口にした。日本シリーズ開幕前日練習を終えたキャプテンが、高ぶる気持ちを表した。

 内川 ドキドキもしないしワクワクもしない。そういう緊張感は選手にはいい。いよいよという気持ちになる。

 CSでは4戦連発でMVPを獲得した。バットはすべて、勝利のために働いた。その姿勢は日本一を決める大一番でも変わらない。個人としては球団初の2度目のMVP、史上初の「CS&日本シリーズ」のダブル受賞がかかるが、もちろん日本一が最優先だ。

 内川 自分の打順(4番)が、どうしてもそういう場面で回ってくるだけ。ここで1本打てば、という場面で打ちたいのは誰もが同じ思い。MVPのために打つわけではない。勝たないとMVPも取れない。結果的に、そうなった(MVP受賞)ら最高ですけど。

 「感謝」の気持ちが強い。左親指付け根骨折で今シーズン終盤を欠場した。「自分にCSという舞台を作ってくれたみんなへの恩返しの気持ちで、CSは結果を残したが、日本一になって初めて恩返しになる」と表現した。15年はCS後に左肋骨(ろっこつ)骨折が判明してシリーズを欠場。CS突破後からこの日まで、「何事もないようにと思ってやってきた」と細心の注意を払い調整を重ねた。

 CSのMVP賞金100万円を資金に25日、福岡市内の焼き肉店で日本シリーズへの「決起集会」を開いた。「長谷川選手会長が『こういう集会を次もやりましょう』と言ったように、これからもそういう雰囲気になればいいと思う」。主将として、グラウンド外でもチームの気持ちをひとつにしている。

 DeNA(当時横浜)は入団以来10年間プレーした古巣。「相手がどこでも関係ない。はっきり言って(古巣相手は)ジャマなもの。100%の力を出せるように頑張りたい」。すべてはチームの日本一のため、内川の「魔法のバット」が日本一を引き寄せる。【浦田由紀夫】