梅ちゃんがチャリトレで正捕手まで突っ走る。阪神梅野隆太郎捕手(26)が21日、自転車に乗って甲子園にやってきた。兵庫県内の自宅から約25分間。寒空の下、汗を流しながらの到着だ。「ゆっくり坂道も走って(球場まで)来ます。(練習の)ウオーミングアップとクールダウンです」。秋季キャンプ終了後も甲子園で練習を続ける梅野にとって、「チャリトレ」も立派な練習だ。

 目を引くのはピカピカに光り輝く相棒。大事そうにまたがった自転車は、米国の総合的なサイクリングブランドであるスペシャライズド社の「ターマック」という車種。意を決して最近購入した約30万円もする代物で、ツール・ド・フランスなどの自転車ロードレースで用いられるような本格的な一品だ。

 正捕手争いはシーズンが終わってもバチバチと火花が散っている。秋季キャンプから原口が捕手に再挑戦。坂本、長坂の若手に加えて、岡崎、小宮山らのベテランも1つの椅子を狙っている。今季チームトップの90試合でスタメンマスクをかぶった梅野も、うかうかしていられない状況だ。

 「この秋でつかめたものを忘れないように。ケガなく今年1年やれたので続けていきたい」。ほかの若虎と同様、11月中は甲子園でトレーニングを続ける予定。ゆっくりと休んでいる暇などない。通勤時間もトレーニング。ペダルを踏みしめる足にも自然と力が入る。【桝井聡】

 ◆阪神今季の捕手 昨季ブレークした原口の一塁手へのコンバートを受け、開幕は梅野でスタート。盗塁阻止率3割7分9厘は巨人小林に次いでセ・リーグ2位と、安定感が増した。故障で出遅れた坂本は、7月上旬に1軍入りすると梅野と併用の形で先発出場を続けた。9月2日中日戦で本塁打を含む初の猛打賞を記録するなど、存在感を強めた。ベテラン岡崎も6月にプロ初本塁打、初のサヨナラ打と不可欠な存在に。新人の長坂は、10月5日中日戦で初出場を果たした。