西武から国内FA権を行使した野上亮磨投手(30)が1日、巨人と正式契約を結んだ。都内ホテルでの入団交渉後、巨人が発表した。3年総額4・5億円規模の大型契約で、背番号は「23」。11月14日のFA権行使を宣言してから悩み抜いた末、4年ぶりV奪還が至上命令の新天地に飛び込んでチャレンジする道を選んだ。4日に入団会見に臨む予定だ。

 無数のフラッシュを浴びながら、野上が堂々と決意を表明した。巨人と正式契約を結んだ後、報道陣の前に立ち、口を開いた。「カメラの数が…びっくりしました」と表情こそ硬かったが、背筋はピンと張ったまま。「気が気でない感じですけど、ジャイアンツのために精いっぱい頑張ろうと思います」と宣言した。

 西武への愛着か、それとも新たな挑戦か-。約2週間、悩み抜いた。食事は喉を通るのに、体重は5キロ減。「体調が悪くなるような2週間でした」と人生の分岐点と真剣に向き合った。

 決断の決め手は「熱意」だった。FA交渉解禁の11月16日、巨人から即アタック。鹿取GMからは「飛び込んでこい」との熱いラブコールを受けた。「一番に声を掛けてくれたチームだった。ひと言、ひと言、自分のための言葉だったのでうれしく感じました」。来春には第1子を出産予定の梨華夫人からも「決断についていくだけ」と後押しされた。この日は西武のオフィシャルスーツとネクタイ姿で、交渉の席に着いた。正式契約前だからと、お世話になった西武に敬意を払った。そのうえで、新たな道への扉を開いた。

 意中の右腕を射止めた鹿取GMは「体の強さ、そしてボールの質が非常に良かった。先発が足りなかったところで彼が入ってくれれば埋められる。期待するところは大きい」と、胸をなで下ろした。11年ぶり4位からの反攻に向け、先発陣の整備が急務だった巨人に、頼もしい右腕が加わった。【浜本卓也】