自然と表情はゆるむ。14日に結婚したばかりの日本ハム上沢直之投手(23)は、新妻との新婚生活を問われると端正なマスクを崩した。「ケガをしてるときも支えてくれたし、やっぱりひとりでできないことも多い。背番号も変わるし、結婚もした。いいきっかけになる。ひとつレベルを上げるために、節目をつくった方がいいと思っていました」。17日は2軍施設の千葉・鎌ケ谷で自主トレ。見学に訪れたファンからも祝福の声が飛んだ。

 昨春、右肘にメスを入れ、1年間を棒に振った。復帰への力になったのは、彼女の存在だった。「僕をいつも笑顔にしてくれる」。リハビリ途中には投球フォームを崩すこともあったが、1軍マウンドに帰ってこられたのは、愛の力によるところも大きい。6年間背負ってきた「63」が「15」に変更となったタイミングが、結婚と重なった。心機一転、来季の飛躍しか頭にはない。

 すでに同居生活をスタートさせている。夫人はアスリートフードマイスターの資格を得るために講習を受けているといい、「疲れて帰ってもご飯があるのはうれしい」と、胃袋もつかまれた。1番のお気に入りはスパイスからつくるというカレー。手料理はグラウンドでの活力になっている。

 戦列に復帰した今季、4勝(9敗)にとどまった。大谷が抜ける来季、上沢にかかる期待は大きい。「生まれ変わって、いい成績を残したい」。ホテルの最上階で指輪とともに言葉をかけたプロポーズは、緊張で「かっこよく言えなかった」が、マウンド上では堂々とした姿で相手打者をなぎ倒す。【本間翼】