想像力から若手の成長を創造する。巨人坂本勇人内野手(29)が14日、沖縄県内で吉川尚、辻とともに自主トレを公開した。

 指導のカギは「イメージ」だった。坂本勇はロングティーを行う辻を見つめるとおもむろに口を開いた。「バーンって打つような感じ」「ポーンと打つ」。擬音語と身ぶりを交える姿は長嶋茂雄終身名誉監督をほうふつとさせた。「技術的なことはあまり言わない。どういうイメージで打っているか。こういう時はこういうイメージでというのを伝えている」と説明した。

 経験を伝承する。入団2年目のオフの08年1月、阿部の自主トレに参加した。主砲と練習を重ね「そういう感覚で打っているのかとすごくプラスになった」と打撃の礎を身につけた。技術論も重要だが、一流の感覚に触れたことが財産となった。自身もプロ12年目で6113打席を積み上げ、「阿部さんにしてもらったことを後輩にしていかないと」と自身の引き出しを惜しげもなく伝えている。

 若手は貪欲に吸収する。正二塁手候補の吉川尚は「言葉じゃ表せない。見て学んで、取り入れたい」とキャッチボールから意識変化。腕を縦ぶりにし、基本を学び直している。辻は「シンプルにためたパワーを出す」と打球に力を伝えるフォーム習得に励んでいる。

 坂本勇自身もロングティーでは40スイング中13本が柵越えと仕上がりつつある。Bクラスからの巻き返しへ「僕と(菅野)智之が雰囲気をつくらないと。仲良しこよしでやっている場合じゃない」と主将として危機感は強い。日本一のイメージを描き、言葉と背中で引っ張っていく。【島根純】