入団決定前から「青木効果」は絶大だ。ヤクルトは30日、2月1日のキャンプインに向けて沖縄・浦添市に入った。メッツからフリーエージェント(FA)となった青木宣親外野手(36)の7年ぶり復帰が確実となる中、小川監督は外野陣の競争が激化することを期待した。バレンティンが冗談交じりに一塁転向を志願するなど、早くも外野の3枠を巡る定位置争いが勃発した形となった。ヤクルトのほか、ロッテ、楽天がキャンプ地に移動した。

 昨季96敗からの巻き返しを図るヤクルトに、これ以上ない“カンフル剤”が注入される。青木の7年ぶり復帰が決定的となり、小川監督が那覇空港に到着後に口を開いた。「球団から正式な発表はあると思いますが、入団することは決まりだろうと思います」と明言。契約後、早ければ2月上旬に1軍に加わる運びとなりそうだ。

 まだ合流もしていない青木だが、すでに存在感が際立っていた。沖縄入り直前の羽田空港では、バレンティンが笑顔で小川監督にすり寄った。「カントク、ミー、ファーストね!」と直談判? 14年に一塁転向を試みて失敗した苦い経験は、どこへやら…。当時の監督として適性に欠けたと知っている小川監督から即却下されても「ダイジョウブ!」とめげなかった。11年に青木と一緒に優勝争いを経験し、同じ外野手として能力の高さは知っている。実現の可能性がゼロに近いと承知の上で「ファーストね!」と懇願するように言ったのは、外野の競争激化の証しと言える。

 チャンスをうかがう若手も、メジャーリーガーの復帰に刺激を受けた。昨季59試合出場で飛躍が期待される3年目山崎は沖縄入り後、グラブを手に室内練習場へと向かった。「青木さんが入ることで越えないといけない壁が増える。競争率が上がる」と現実を受け止めた。その上で「成長できるチャンスととらえています。いろいろ吸収したい。諦めずにレギュラー争いに食らいつきたい」と、競争激化は成長の糧になると前向きにとらえた。

 小川監督は「もちろん競争は変わりない。どうやって配置しようかなと正直悩むのは事実」と、うれしい悲鳴を上げた。卓越した打撃技術に、リーダーシップも兼ね備えた青木の復帰が、「再起」をテーマに掲げるヤクルトを大きく変える。【浜本卓也】