ソフトバンク柳田が規格外の打撃で、野村克也氏の「毒ガス口撃」を振り払った。OB戦翌日の11日、宮崎キャンプを訪問した野村氏が柳田にチクリ。「お前のはアッパー(スイング)だろ? ONがダウンかレベルで打つからみんなそうしたんじゃ。そんな打撃で数字を残されたら野球界が…」。いかにも野村氏らしいひと言だった。

 それでも柳田はめげなかった。この日から始まったシート打撃で、石川の直球をアッパースイングで右中間最深部へ二塁打。「詰まった。普通にアウトと思って走っていた」という手応え以上にパワーで打球が飛んでいった。野村氏との会話には「(打撃は)人それぞれ。もっともっと進化したい」としたが、もちろん野村氏も柳田の素質は認めている。「あんな打ち方はマネできない。ONが野球界を引っ張ったように、柳田がこれから引っ張っていって」とエールを送った。

 内川、甲斐も、野村氏から独特のぼやきで激励された。内川には「天才が努力すると、うちら凡人はどうしようもない」と称賛し、身長170センチの甲斐には「お前小さいな」と第一声。いい捕手になると絶賛し、現在空き番となっている自身がつけていた「19」も「つけてくれるとありがたい」と、ホークス正捕手の後継者として大きな期待を寄せていた。【石橋隆雄】