阪神新外国人のウィリン・ロサリオ内野手(29=韓国・ハンファ)が、日本野球への順応でアーチ再量産を目指す。12日は甲子園で、片岡篤史ヘッド兼打撃コーチ(48)と打撃練習中に会談。技術とメンタル両面の助言を求めた。2月の沖縄・宜野座キャンプでは3本塁打を放ったが、2月16日の楽天戦を最後に23打席ノーアーチ。金本監督から「不動の4番」と期待される新主砲が、本来の飛距離を取り戻そうと一生懸命だ。

 心技両面で、ロサリオが活路を求めた。フリー打撃を終えて約15分間、ロサリオが片岡ヘッド兼打撃コーチと話し込んだ。右足に体重を乗せる動作も交え、会話は続く。実戦でのオーバーフェンスが途絶えた原因について、周囲はスイング時に軸足の右足が動く傾向を指摘。ただこの日の会談は、技術の矯正だけではなかった。

 「それもあるけど、日本の投手にはどういう投手がいるのかなどを教えてもらった。自分のやってきたことを続けていきたいけど、日本の投手に対応していかなければならないからね」とロサリオは柔軟だった。片岡ヘッドは「あまり自分で自分を追い込まないようにね。よく練習するけど、自分の思うような打撃をできていない。内の速い球、外に逃げていく球でロサリオにも来ている。待っているのではなく、積極的に振っていくというのは、本人も言っている。そういう形でいいと思う」と認めた。

 猛勉強の真っ最中だ。7日DeNA戦の2回、先頭での打席で外角低め速球がストライクになり、思わずのけぞった。4回1死の打席では、初球の内寄り低め速球にストライクがコールされると、自然にうなずいた。日本のストライクゾーンに慣れようと、高低を必死に見極めた。

 10日中日戦の5回1死の打席では、左腕の笠原に110キロカーブ→108キロチェンジアップ→108キロチェンジアップ→109キロチェンジアップと4球連続遅球で攻められ見逃し三振に倒れた。2月序盤になかった組み立てだった。

 早春の寒さにも苦労。「ちょっと風邪気味だったり、手がはれたりして。でもそれも過程の一部。暖かくなるにつれて、しっかり調整していきたい」と春本番を待ちながら、今できることに懸命に取り組む。金本監督は昨年との戦力比較で「大きな柱ができた」と信頼を寄せる。今日対戦するヤクルトも「不動の4番」とみなし、小川監督は「生で見たことはないけど、いい打者なのは間違いないと思う」と警戒する。宜野座を震撼(しんかん)させた長打力は、本物。対応力を身につければ、不動の4番は完成する。【堀まどか】