ベンチ最前列での主将のガッツポーズに、今の勢いが表れていた。DeNA筒香嘉智外野手(26)は、8回2死走者なしから一挙4点を奪った逆転劇に満面の笑みを見せた。「負けていても、ひっくり返す雰囲気が出てきている。試合に入れば、みんな熱くなりますから」。ナイン一丸で巨人沢村に5長短打を浴びせての4連勝。2カード連続勝ち越しを決めた。

 打線に点火したのは、やはり頼れる主砲だ。6回2死一塁。外角高めの直球を左翼席中段に運んだ。プロ初先発の平田の力投に応える先制の3号2ラン。「平田さんが頑張っていたので何とか点を取りたいと思っていた。つなぐ意識を持ちながら、強いスイングを心掛けました」。今季初の逆方向への1発に「うまく打つことができた。いい感覚です」とうなずいた。

 シーズンに照準を合わせ準備を重ねてきた。始動は昨年12月。「自分は12月、1月が本当に大事だと思っている。その時期に徹底的に振り込んでいます」。春季キャンプはタイミングの確認。オープン戦を経て、フォームの微調整を重ねてきた。開幕当初は結果が伴わなかったが、自身の打撃感覚を信じ、貫いてきた。

 これで3戦連続の複数安打。主砲の上昇カーブに合わせるように、チームも3試合連続の2ケタ安打と勢いが出てきた。「チーム自体も成長していると思いますし、選手1人1人も成長している。ベンチの雰囲気もすごくいい」。前夜の上原打ちに続き、巨人の勝利の方程式を8回に攻略した。DeNAの開幕10戦目での勝率5割は3年ぶり。波に乗ってきた。【佐竹実】