中日松坂大輔投手(37)が、オリックスを6回1安打無失点に抑える快投をみせた。日本球界復帰後9奪三振は最多で無失点は初めて。リリーフ陣が打たれて3勝目はお預けとなったが、完全復活を印象づけた。

 「球自体は悪くなかった。別に四球でも安打でも、盗塁されようとホームにかえさなければいい。それは高校時代から一緒です」。横浜高時代から変わらない投球術を見せた。投手陣は前日までの4試合で27失点。その手本となるべく、粘りの投球で強力打線を翻弄(ほんろう)した。「(7回も)行きたいと言ってたが、止めた」と森監督。続投を志願するほど好感触の内容だった。

 「ゲームは作れましたが、何とかもう1イニング行きたかったです」。松坂はチームの交流戦2連敗発進を悔やんだ。今日31日の状態次第だが、今後も登録抹消なく同行予定。中8日を維持すれば、6月8日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)、同17日の西武戦(メットライフドーム)と、過去の所属球団との対戦も実現できる。

 移籍後初の無失点投球は、ファンへの強烈なアピールになった。29日の球宴ファン投票中間発表初日は、先発部門1位の巨人菅野に約5500票差の2位。だが松坂は1日で約1万票を上乗せし、約2400票差まで差を詰めた。「たくさん票をいただいたことは素直にうれしい」。球宴第2戦は熊本・藤崎台球場。ソフトバンク時代の16年に起きた熊本地震で被害を受けた同球場には、修繕費を寄付してきた。完全復活を印象付けた登板は、12年ぶりの球宴出場への扉を開けるかもしれない。【伊東大介】