巨人岡本和真内野手(21)が、初4番の第1打席に本塁打を放った。オリックスとの「日本生命セ・パ交流戦」に、巨人軍第89代となる4番打者でスタメン出場。2回に特大の先制10号ソロを放った。21歳の4番はあの松井秀喜以来。8回には同点適時打も放ち、生え抜きスラッガーの資質が開花している。試合は延長12回、オリックス伏見寅威捕手(28)が代打サヨナラ打。巨人は4位に転落した。

 一振りで4番の器だと証明した。岡本の放った放物線が全てを物語っていた。2回無死、カウント1-1からの3球目。オリックス山岡の147キロ直球をフルスイングでしばき上げた。打球は外野ポールよりも高く舞い、京セラドームの5階左翼席へと飛び込んだ。巨人軍第89代としての初打席で球場がどよめく特大の10号先制ソロ。「入って良かったなという感じです」と淡々と振り返った。

 思い出の地で、10歳の時に見た4番の姿に近づいた。「僕の場合、プロ野球といえば甲子園じゃなくて京セラなんです」。出身地の奈良から近鉄線に揺られ、ほぼ1本で来られる京セラドームはどこよりもワクワクする場所だった。

 06年8月17日、訪れた阪神-横浜(現DeNA)戦で背番号25にくぎ付けになった。6回、横浜の4番村田(現BC栃木)が左翼席へと放物線を突き刺した。試合は7-1の圧勝。「阪神のシーツも打ってましたけど(笑い)ホームランって格好良いなと思った。野球は見るよりもやった方が楽しい」と体がうずき、帰宅後は興奮を静めるようにバットを振った。チームを勝たせた男は後に巨人軍第76代4番となり、新天地でも背番号「25」を背負った。あれから約12年。憧れた背番号「25」を継承し、4番として同じ京セラドームで本塁打を放った。

 だからこそ、勝利こそが全てと知る。1点を追う8回1死二塁では、しぶとく二塁の頭上を越える同点適時打を放った。しかし、延長12回には2死一塁から凡退。サヨナラ負けを喫し「負けてるんで、意味ないです」と悔しさをにじませた。勝利も敗北も、左右するのが4番だ。今季51試合目での抜てきに「まさか自分が打つとは思っていなかった」と口にしたが、役割は理解している。次は勝利につなげる一打で、自らの使命を証明する。【島根純】