日本ハムが誇る広島出身スラッガー・コンビ、中田翔内野手(29)と大田泰示外野手(27)が地元で大活躍を誓った。4日、チームとともに新千歳空港から広島へ空路移動した。前日3日に連勝が3で止まったが、打線の主軸に担う2人は今日5日からの広島3連戦(マツダ)へ向けて気持ちをスイッチ。ともに家族も応援に駆けつける故郷で打ちまくり、チームをさらなる上昇気流へ乗せていく。

 広島市出身の中田は地元での試合を前に、静かに闘志を燃やしていた。「地元と言っても中学までしかいないし…でも、親戚や家族が見てくれる。違った意味で気持ちを入れ替えられる。試合が始まったら、勝ちに行くだけやね」。幼少期は広島ファン。熱狂的な敵地の雰囲気も肌間で知る。「広島ファンの応援はすごいけど、そこを考えすぎてもダメ。集中して行ければ」と、自らに気合を注入して機上の人となった。

 福山市出身の大田も、心構えは1学年上の同郷の先輩と変わらない。「地元だから、という意識はそこまでない。両親は見に来るかもしれないけど、とにかく今は2番打者の仕事をすること。得点圏で打つことしか考えていない」。今や打線に欠かせない主軸へ成長した。故郷で、その姿を見せることが親孝行でもあり、チームの勝利につながることだと理解する。

 広島で育った2人の大砲が額面通りの活躍をすれば、セ・リーグ首位相手にも怖くはない。ここまで打点は中田38、大田33とチーム1、2位を占める。本塁打数も中田がチーム最多13本、大田が2位タイの11発。中田は「ここ何試合か、まれに見る打線の爆発だったけど、それはウチの戦い方ではない。集中して、粘り強く戦いたい」と話せば、大田は「1つのチャンスに集中して点を取れるか、取れないか。そこが大事」。共通する「集中」が、広島撃破へのキーワードだ。

 気負いはない。交流戦中にリーグ戦で首位浮上の可能性も広がっている状況だが、2人とも「他のチーム(の勝ち負け)は気にならない」と、声をそろえる。広島出身のスラッガー・コンビは、目の前の試合だけに集中している。赤く染まるであろう敵地で2人が打ちまくり、2年ぶりのリーグ制覇へチームを加速させていく。【木下大輔】