立命大(関西学生)のドラフト上位候補、辰己涼介外野手(4年=社)が全国の舞台でスピードスターぶりを披露した。決勝の適時二塁打をはじめ、俊足を生かしたプレーで奈良学園大(近畿学生)戦の勝利に貢献。国内12球団100人超のスカウト陣を仰天させた。

 50メートル5秒7を誇る辰己が、自慢の快足で東京ドームを沸かせた。4-1の7回2死、豪快に空振りした直後だった。三塁手が少し後方に下がったのを見ると、投手と三塁手の間へセーフティーバント。左打席からさっそうと駆け抜け、一塁到達はプロスカウトのストップウオッチで「3秒47」を計測した。一瞬で集まった100人超のスカウトの目を奪った。オリックス内匠スカウトは「プロの選手でも速くて3秒6か7。プロでも聞かない、すごい数字だと思うよ」と舌を巻いた。

 打撃でも見せた。1-1の5回2死二、三塁で左翼越えに決勝の2点二塁打。前日のミーティングで「困った時は、俺の前にランナーをためろ」とナインに豪語していた通り、3打数2安打2打点。主将として、経験の浅い選手の負担を減らしたい気持ちから出た豪語を実行。勝負強さを発揮した。阪神熊野スカウトは「走攻守の3拍子が高いレベルでそろっている。評価が上がるね。上位じゃないと取れない」と評価した。

 辰己の試合前のルーティンは「歯磨き」。この日も起床後、朝食後、試合前と3度の歯磨き。「きれい好きなので血が出るくらい強く磨いてしまいます」。ホテルの歯ブラシは軟らかいものが多いと言い「マイ歯ブラシを持参しています」と、こだわりの白い歯をのぞかせた。

 22日からの大学日本代表の選考合宿に参加する。3年連続で代表選出も確実視され、主将候補にも名前が挙がっている。「日本一になることで僕のアピールにもつながってくる」。ゴールに向かって勢いよく発進した。【磯綾乃】

 ◆辰己涼介(たつみ・りょうすけ)1996年(平8)12月27日、神戸市生まれ。藤原台小では大淀ボーイズに所属し、有野中では神戸三田ドジャースに所属。社(やしろ)から立命大。1年春から出場し関西学生のベストナインを3度受賞。現在リーグ通算104安打。2年時から大学日本代表に選出。50メートル5秒7、遠投120メートル。178センチ、68キロ。右投げ左打ち。