阪神金本知憲監督(50)が7日、逆転優勝へのポイントに必勝リレーの整備を挙げた。秘密兵器はプロ3年目の望月惇志投手(20)だ。今季初登板の3日中日戦(甲子園)で2回5奪三振の快投を見せ、一際輝きを放った最速158キロの本格派右腕。指揮官は「彼が(実績を)作ってくれたら、あるかも」と、勝利の方程式入りを期待した。

 雨がたたきつける甲子園の室内練習場で金本監督が後半戦に思いをはせた。95年以来、23年ぶりとなる3試合連続の雨天中止。前半戦は4戦を残すが「後ろを固めたチームが最後、残りそうな気もする。今年の野球は」と先を見据えた。首位広島を追うためにも、必勝リレーの整備を最重要課題に位置づけた。

 昨季、リーグ最強だったリリーフ陣も今年は苦戦する。昨季の救援防御率2・68は3・96に悪化。守護神ドリスが発熱し、セットアッパーのマテオも右肩のコンディション不良で2軍調整を強いられた。左腕セットアッパーの高橋聡も左肩痛で戦線離脱。いずれもすでに1軍復帰したが、不安定な状態が続いている。首位広島など他球団も救援陣が軒並み不調。救援陣の整備が勝ち抜く近道になる。

 秘密兵器は3日中日戦で救援した3年目右腕の望月だ。衝撃だった。最速155キロなど、150キロ台の速球を連発して5者連続奪三振。金本監督は「リリーフに向いているかな」と評価していた。この日も話題に出た。勝利の方程式での起用について問われると「固定まではどうかな」と話しつつ、含みを持たせる。

 「兼ね合いにもよる。まだまだ(藤川)球児とか能見とか、桑原みたいな信頼はない。これから彼が(実績を)作ってくれたら、あるかも分からない」

 指揮官は「大きく育てたい」という方針を持ち、2軍でも先発させてきた。必勝リレー入りは時期尚早だ。まだ今季1軍登板1戦だけで、将来的なリリーフ起用に関しても、慎重に適性を見極める。金本監督は「後ろも自前で作っていきたい。3枚のうち、2枚くらいは。大きく作っていきたいけど向き不向きがある」と続けた。救援適性を推す香田投手コーチは「150キロを超えるストレート。空振りを取れる球の速さがある。(足りないのは)場数と経験」と言い、今後は僅差の展開でも投入する。好結果を重ねれば今季の必勝リレー入りも見えてくる。

 かつて藤川は24歳だった04年後半戦に救援で快投を続けて、一流に駆け上がった。金本監督は「(望月は)いいフォークもある。まだまだ球質は球児の方が上だけど。まあ楽しみな投手」と期待する。チームに、望月に、夢が広がる後半戦になる。【酒井俊作】

 ◆望月惇志(もちづき・あつし)1997年(平9)8月2日生まれ、神奈川・横浜市出身。5歳で野球を始め、芹が谷中学時代は横浜南ボーイズに所属。横浜創学館では3年時に最速148キロをマークして夏県ベスト8。甲子園は出場なし。15年ドラフト4位で阪神入団。1年目の16年10月1日、福原忍の引退試合となった最終巨人戦(甲子園)で1回0封デビュー。17年は、右肘痛や腰痛など故障に泣き、12月に腰部ヘルニアを手術。リハビリから再起して今季は2軍で10試合に登板し、1完封を含む2勝1敗、防御率3・35で今月3日に今季初昇格。190センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸500万円。