虎が大逆襲へ号砲だ。先発野手全員安打&今季初4本塁打の猛攻で、阪神がDeNAに連勝して4位に浮上した。1発攻勢の中でも、長く不振に苦しんだウィリン・ロサリオ内野手(29)が連夜の豪快アーチをかっ飛ばして完全復調の気配だ。虎浮上のカギを握る大砲を軸とした攻撃的布陣で、逆襲ロードを突き進む。

 確信した瞬間、ロサリオがハマの夜空に向かって大絶叫した。高々と右手を突き上げて喜び走る。右翼スタンドに豪快に押し込んだ。2戦連続となる7号2ランに喜びを爆発させた。

 「いい感じで打てた。外のストライクゾーンをしっかり打とうと思って。いい方向に強い打球を打つことができたね。ベンチの雰囲気も良くて自分もチームに貢献したい気持ちだった」

 やっと、目覚めた。実績十分で来日したが、外角の逃げるボールに手が出てしまう癖があり、日本野球に対応できなかった。2軍落ちも経験。ただ、腐らなかった。ファームでは矢野2軍監督に日本野球特有の配球について質問攻め。姿勢は貪欲なままだった。

 前日に2発を放っても、そのスタンスは変わらない。試合前にDeNAラミレス監督と同僚のナバーロを交えて約5分間の野球談議。相手はNPBに13年間在籍し、通算2017安打を放って、名球会入りした“先輩”。もちろんあいさつもあるだろうが、どんな言葉も逃さない思いもある。「いい感じで(ナバーロと)2人とも打てたので、これを続けていけばチームも勝てる。小さいことから大きいことまでいろいろ必要だと思うが、続けてやっていきたい」。ナバーロとの共闘宣言にも復調の手応えがうかがえる。

 金本監督も「右投手のスライダーにアジャストでき始めている。ボール球で誘ってくるなというときにパッと見逃したり、でき始めている」と評価を高めたように、状態は紛れもなく上向いている。打線の軸を担う大砲の快音と同時に、打線も活発化してきた。戦列復帰したばかりの糸井も2戦連発に加え、猛打賞。さらに盗塁を仕掛ける場面もあり、右足骨折から力強く復調してきている。7回には陽川が豪快バックスクリーン弾。ナバーロの来日1号を含め、チーム今季初の1試合4発の猛攻だった。

 先発野手全員安打の14安打11得点。まだチーム309得点はリーグワーストだが、ロサリオ、ナバーロを併用する攻撃的布陣が確実に奏功し始めた。週明けの24日からは本拠地甲子園に首位広島を迎える。迎撃する準備は整った。【真柴健】

 ▼阪神の1試合4本塁打は、17年9月2日中日戦の4本塁打(坂本、大山、福留、中谷)以来。

 ▼阪神の複数の外国人選手が1試合にそろって本塁打を放ったのは、16年3月30日ヤクルト戦のヘイグ、ゴメス以来。