点を失っても、自信は失わなかった。巨人メルセデスが人生初の完投勝利を挙げた。初安打を許した直後の6回1死一塁。DeNA桑原に内角直球を左翼席へ運ばれた。デビューからの連続無失点が25イニングで途切れ、1点差。しかし「内角を狙われた。バッターがうまく打った」と意に介さない。続くソトを空振り三振、ロペスはチェンジアップで三ゴロに仕留めた。

 カウントも、気持ちも常に優位だった。9回まで打者30人に3ボールは3度だけ。2時間23分で試合を片付け「制球を意識した練習が身になった。高さだけを気をつけて投げられている」と、簡単にストライクを取れる自信がテンポを上げた。幼少期は母国ドミニカ共和国でソフトボールに熱中。登録は左投げ両打ちながら「全部のポジションを守った。右でも投げられるんだよ」と両投げの器用さが、ボールを操る技術につながった。

 1発以外は得点を許さず、3安打2失点で1人で投げきった。「人生で初めてなので、うれしい」と胸を張った。育成出身でデビューから先発3連勝は09年巨人オビスポに並び、プロ野球史上最多タイ。助っ人が出世街道をひた走る。【島根純】