西武平井克典投手(26)は心憎い言葉で切り出した。

 「雄星(菊池)には、いつもチーム全体を助けてもらっている。たまには僕が助けてあげたかった」

 1-3の7回2死二塁でお呼びがかかった。菊池に代わる2番手で登板。今季初めて、イニング途中で降りた同い年のエースを助けたかった。

 日本ハム松本を2球で追い込んだ。カウント1-2からの4球目。首を何度も振って、自ら選んだのは内角真っすぐ。「決めてました。データからも、最後はスライダーを狙ってくるだろうと。自分の意思です」。強気に、遊ゴロに打ち取った。

 7回に味方が3点を奪い逆転。平井は8回も続投し、3者凡退でつないだ。8回先頭は近藤。ファウル4つを打たれる我慢比べだった。カウント2-2からの8球目、再び首を振り続け、今度は外角スライダー。外のボールゾーンからクイッと曲げ、見逃し三振。近藤に反応させなかった。「一番頭にない球だろうと。投げ切れてよかった。ひらめきです」と、してやったりだった。

 2年目の今季、5月に入ると打ち込まれることが続き、6月前半に2軍落ち。ファームで再びキレを取り戻し、1軍に戻ってきた。6月27日からは11試合で1失点のみ。辻監督からは「今日は平井でしょう」とねぎらわれた。

 今季2勝目を手にしたが「大事な3連戦の頭を取れてよかった。僕の勝ちよりも、それ(チームの勝利)が一番の収穫だと思います」と、最後まで心憎い言葉で締めた。【古川真弥】