先制弾が、そのまま決勝弾になった。初回無死一、二塁。西武浅村栄斗内野手(27)が楽天岸から23号3ランを放った。2-1のバッティングカウント。甘くきた139キロの直球系を引っ張り、開始直後でまだ西日の残っていた左翼スタンド中段へ突き刺した。「良い投手からは、なかなか先制点は取れない。チャンスで回してくれた。ヒットで先制点を取ろう」と思ったら、最高の結果が飛び出した。

 初回の3得点を始め計10安打10得点。守っては完封リレーの完勝だ。浅村は2回にも適時打を放ち4打点。今季87打点とし、ソロで1打点を加えた山川の86打点を抜き、リーグトップに立った。チーム内競争が刺激になるか問われ「それはありますけど、まだ40試合ぐらいある。あまり意識しません。2人で1点でも多く挙げればチームのためになる」と受け流した。

 過剰な意識は排除する。この日はデーゲームで2位日本ハムが先に勝っていたが、浅村の思考はシンプル。「ハムが勝ったから勝たなきゃいけないとか、負けたから負けてもいいとか、思わない」。目の前の試合で勝つだけと思っている。0・5ゲーム差まで迫られていた7月後半も、そうだった。接戦を勝ち抜くために必要なものを聞かれ「メンタルでしょう。もし首位から落ちても、バタバタしなくていい」と即答していた。2連勝で貯金は今季最多22。6カード連続勝ち越しとなり、両リーグ最速の60勝に到達した。キャプテンは動じない心で、着々と首位固めに入っている。【古川真弥】