大阪桐蔭Vへ最高の景気づけだ! 西武浅村栄斗内野手(27)が1点を追う7回、逆転の25号グランドスラムを放った。初回にも同点の24号ソロを放つなど2発5打点の大暴れ。2位日本ハムとのゲーム差を今季最大の6・5に広げた。最短で24日に優勝マジック25か24が点灯する。今日20日に甲子園で準決勝を戦い、春夏連覇を目指す母校・大阪桐蔭とともに、西武の10年ぶりの栄冠へ突き進む。

 浅村は1歩も引かなかった。1点を追う7回1死満塁。日本ハム公文から執拗(しつよう)に懐を攻められた。4球連続内角。「カウント3-1からは、だいたい真ん中に来る。思い切って直球1本」。腹をくくった5球目、内角148キロを振り抜いた。ライナーで左翼席へと突き刺した。

 地鳴りを浴びながらダイヤモンドを回った。いつものように表情は崩さない。内心で「最高ですね」と酔いしれた。初回には24号同点ソロ。一気に5打点を稼ぎ、今季92打点。再び、山川と並ぶリーグトップも「全然、考えてないです」。タイトルどうこうより、勝った。それが全てだった。

 好調を支える武器を手に入れた。開幕から1カ月ほどして、釣り鐘型のティースタンドが届いた。上半分をゴムに埋め込んだボールに対し、バットを下から入れて打つイメージを養う。バックスピンで飛ばす「フライボール革命」を大リーグで生んだアイテム。ただ、浅村の狙いは別にあった。「ボールとの距離を大事にしてます」。従来の“置きティー”と違い、上半分が隠れている釣り鐘型は、体が突っ込むとボールが見づらくなる。距離を取る練習にうってつけだった。「これをやり始めてホームランが出ている。人それぞれなんで」。チームで1人だけ本格的に取り入れた。周りは関係ない。打撃の“芯”があるから、良いと思ったものをやってみる。

 マジック点灯が見えてきたが「1戦1戦、大事に。できるだけゲーム差を広げる戦いを」と大風呂敷は広げない。変わらず、結果で見せていく。【古川真弥】