ソフトバンク千賀滉大投手(25)が、楽天打線を8回4安打1失点に抑え、チームトップタイの11勝目を挙げた。8月は4戦4勝とエースの働きで初の月間MVPの最有力候補となった。チームは連勝で貯金は今季最多の11とした。8月は18勝6敗。首位西武も勝ち、6ゲーム差は変わらずも、この勢いのまま大逆転Vへ9月攻勢をかける。

ピンチは初回だけだった。1点を失いなおも2死二塁。千賀は得意のお化けフォークで銀次をハーフスイングでの空振り三振に仕留めた。小雨が降り続く中だったが「集中力を保っていけた。ストライクをドンドン取っていった」。2回までに味方が4点を援護。千賀は最速155キロの直球を低めに投げ込んだ。

8回には今季楽天へ移籍した山下と初対戦。10年育成ドラフト4位からエースに成り上がった千賀は、10年ドラフト1位の同い年をカーブ2球で追い込むと、150キロ超の直球を4球続け真っ向勝負を挑んだ。結果は遊ゴロ失策。三振を狙ったがバットに当てられた瞬間「何それ!」と悔しがった。「思い切っていった、次からは普通に投げますよ」と笑った。

この日は点差が開いたこともあり、完投せず8回で降板した。8月は4戦4勝。31回1/3を投げ失点は3。防御率0・86と完璧な成績を残した。プロ8年目でまだ受賞したことがない月間MVPの、8月度パ投手部門最有力候補に名乗りを上げた。西武の守護神ヒースが13試合で4ホールド8セーブ、防御率0・00でライバルだ。

工藤監督は「しっかりした投球をしてくれる。3連戦の初っぱなは大事。ここで勝つとみんなが乗っていける」とカード頭での白星を喜んだ。千賀は「石川先輩に負けないように」と同じく11勝の石川を意識した。石川が白星を挙げた登板日直後の千賀の登板は8試合で7勝0敗と、相乗効果は続く。

千賀は「また9月も連勝を続けていけるように」と力強く話した。負けないエース千賀を先頭に奇跡の9月を演出する。【石橋隆雄】