広島新井貴浩内野手(41)が5日、マツダスタジアムで会見し、今季限りでの現役引退を発表した。

05年まで駒大監督を務め、広島新井の恩師・太田誠氏(82)は「本当に長い間よくやった。ご苦労さま。大学時代を思い起こすと、ここまでの選手になるとは思いもしなかった」。長打力を買って4番を任せたが「試合ではあまり活躍できなかった」と振り返った。

大器晩成。「卒業後の進路は社会人に決めていたが、本人がドラフト10日前に『契約金はいらないからプロに行きたい』と言ってきたんだよ。『無理だぞ』と言ったが、本人があまりに純粋で真剣だから、OBの野村(前広島監督)に連絡した。そうしたらオーナーが見てくれて、6位で指名してくれたんだ。だから、2000安打とか39歳でMVPとか考えたこともなかった」と目を細めた。

愛される。「律義な男だよ。中日-広島戦を浜松でやった時、私は当時東京に住んでいたんだが、浜松にある太田家の墓参りに行ってくれたんだ。プロ1号はその翌日だったと後で聞いた。常に感謝の気持ちを忘れず、謙虚な人間性で誰からも愛された。広島、阪神でいろいろな監督、コーチと出会ったが、いつもかわいがられたね」。太田氏は「野球の勉強をして、まだまだ成長してほしいね」と大器晩成の続きを期待した。