安室メドレーに乗って、西武が優勝マジック点灯に王手をかけた。2位ソフトバンクとの天王山3連戦第2ラウンド。初回に先頭から打者4人、わずか7球で4点を奪い、流れをつかんだ。各選手の第1打席の登場曲には、この日で芸能界を引退した安室奈美恵の曲が使われた。同じ沖縄出身の山川穂高内野手(26)が41号2ランを放つなど、ノリノリだった。連勝でソフトバンクとのゲーム差は5・5。今日も勝てば、優勝マジック「11」がつく。

初回先頭、秋山が打席に向かう時に流れたのは、おなじみブルーハーツ「ひとにやさしく」では、なかった。「Chase the Chance」。安室ちゃんの美声が響く。♪止まらない衝動に従うだけ、とばかり、ソフトバンク大竹の初球を振って中前打。2番源田は「Get Myself Back」。♪傷つくために生まれてきたんじゃない、安打を打つためだ。2球目、右中間を破る三塁打で1点を先制した。

まだまだ、続く。3番浅村は「NEVER END」。曲名そのまま、速攻は終わらない。2球目を左中間にかっ飛ばし、2点目を奪う。仕上げは4番山川だ。「Fight Together」。♪目指す場所はただひとつ、と2球目を左翼席へ放り込む41号2ラン。4人で単打、三塁打、二塁打、本塁打の“サイクル”。わずか7球、16分間の出来事だった。

引退した国民的歌姫へのリスペクト。実は、半年以上前から温められていた。今年1月、一緒に自主トレを行った松井と金子侑が「引退する日にできたら」と思いついた。迎えたこの日。練習から安室メドレーを流し、雰囲気がつくられた。先制劇を呼んだのは、発案者の1人、金子侑だ。初回の守り。1死二塁で中村晃の右中間への大飛球を、後ろに走りながらダイビングキャッチ。失点を防いだ。辻監督も「すごかった。今日一番のポイント。抜けてたら、2点、3点、いかれていた可能性が高い。その流れからの先制パンチ」と絶賛する美技だった。

優勝へ向けた大事な一戦を、みんなが楽しんだ。8番メヒアだけ、倖田来未の「キューティーハニー」が流れ、ベンチは爆笑。そんな“遊び心”を仕掛けた炭谷は試合前「大事な試合だけど硬くなりすぎず、普段どおり戦いたい」。伸び伸び、たくましく。ヒーローインタビューの後に流れたのは、もちろん「HERO」。今日、マジックをつける。【古川真弥】

▼西武は今日17日のソフトバンク戦に勝てば、優勝へのマジックナンバー11が点灯する。西武のマジックが点灯すれば10年9月以来となる。

▼3打点の山川は今季通算110打点。浅村も112打点を挙げており、同一球団での110打点以上2人は10年阪神(ブラゼル117、新井112)以来。西武では初めて。