元阪神で14年首位打者のマット・マートン氏(36=米大リーグ・カブス競技運営部門補佐)が17日、被災地支援に訪れた兵庫・西宮市内で古巣にエールを送った。

「いま、プレーヤーでない立場で球団のことを言うのはふさわしくない」とチームに配慮しつつ、最下位に沈んだ戦友を思う気持ちは強い。「明日どうなるか案じるよりも、いま与えられた打席、投球にベストを尽くしてプレーすることが結果につながる」。逆転CSへネバーギブアップ。目の前の役割にベストを尽くせば道は開けると力を込めた。

15日に、退団した15年以来、3年ぶりに来日。前日16日は仲間との再会を分かち合ったという。福留や能見ら、複数の選手と横浜で食事会。41歳で主力として奮闘する福留を「年齢よりもずっと若く元気に見えた」と評し、さらなる活躍を確信。また、12年に守備を巡って「能見さん、嫌い」など舌禍騒動があった能見について、「あの事件の時は、いろいろ書かれて大変だったが、その困難が私たちをより親しくさせてくれた」と笑顔で振り返った。

マートン氏は阪神で10~15年の6年間プレー。1年目で214安打を放ってイチローのプロ野球記録を塗り替えるなど最強助っ人として活躍した。この日は、今月初旬の台風21号で大きな被害を受けた兵庫・西宮市の西宮アガペー教会を訪問。市民と交流した。来日のきっかけは、教会関係者の知人から台風や地震の被災状況を聞いたこと。「日本にいる間に自分のできることをして、受けたものをお返しすることができれば」。今日18日は大阪府北部地震の被害を受けた茨木市で野球教室を開催。猛虎を思う足長マートンが、被災地にも元気を届ける。【鶴屋健太】

◆マット・マートン 1981年10月3日、米国フロリダ州生まれ。ジョージア工科大から03年ドラフト1巡目でレッドソックス入団。カブス-アスレチックス-ロッキーズを経て、10年に阪神入団。15年に阪神外国人初の1000安打を達成。在籍6年はカークランド、バースと並び球団外国人野手最長。NPB通算832試合、打率3割1分、77本塁打、417打点。帰国後はメジャー昇格ならず、今年1月に現役引退を表明。阪神在籍中は185センチ、99キロ。右投げ右打ち。