広島は今日20日からマツダスタジアムで9連戦。迫る地元Vへムードが高まる中、さらなる朗報だ。右手中指骨折で離脱していた広島安部友裕内野手(29)が、上々の実戦復帰を果たした。19日のウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)に「2番三塁」で出場。5回に激走で二塁打をもぎ取り、5度の守備機会も無難にこなした。1カ月半のブランクを感じさせない内容。1軍復帰はマジック4としている優勝が決まった後になりそうだが、もうすぐ戦列に戻ってくる。

安部にとって、最初の見せ場は2回の 守りだった。近藤のゴロをハーフバウンドでうまく捕球。一塁へストライク送球した。右手中指の骨折明け。最も懸念されたスローイングを本格的に再開してまだ数日だが、問題を感じさせなかった。

「たくさん打球が飛んできてくれた。準備はできていた。1日でも早く(1軍の)戦力になりたいと思って取り組んでいる」

3回には加藤のボテボテのゴロ、石垣のハーフライナー気味のゴロをいずれも無難に処理。6回は1死満塁から渡辺の痛烈なゴロを体でストップし、素早く拾って本塁でアウトにした。

打席内容もまずまずだった。1回は左飛も、2回は見極めて四球。5回は山井の低めスライダーをとらえた。遊撃手の頭をライナーで越える打球を見て、迷わず一塁を回った。間一髪で二塁を陥れた。「もっと余裕でセーフかと思った」と苦笑いも、結果が出たことは前進といえる。7回は敵失で出塁。予定の4打席で交代となった。

8月5日DeNA戦(横浜)の三塁守備でゴロをはじいて右手中指を骨折した。開幕からの打撃不振を脱出した矢先だった。「けがして悔しい思いは当然ある。でも打球を当てたのは自分の責任なので」。シーズン中の復帰は絶望的かと思われたが、懸命なリハビリを続けて戻ってきた。

1軍への復帰時期については、あと2軍戦5試合の経過を見る予定。ただ1軍首脳陣は「動けるようになれば」と話しており、そう遠くはない。打撃好調の三塁西川は守備の不安を抱えるだけに、オプション増はチームにプラス材料。復帰戦を終えた安部は「あとは試合勘と、体のキレを出していきたい」と誓った。昨季はシーズン打率3割も、CSファイナルステージは右ふくらはぎ痛で代打2打席に終わった。今年は大暴れする姿が見られるかもしれない。【大池和幸】