オリックス小谷野栄一内野手(37)が京セラドーム大阪で会見を行い、今季限りでの引退を表明した。14年オフに日本ハムからオリックスに移籍し、勝負強い打撃と堅実な内野守備でチームに貢献してきたが、移籍4年目の今季は右肘や膝に痛みを抱え、満身創痍(そうい)の状態だった。会見でも体調に触れ「心と体にギャップができて。もっとみんなと一緒にやりたかったのに、もう体が動かなかった」と唇をかみしめた。

中日松坂には前日26日に電話で引退を報告。小学6年から江戸川南リトル、シニアで4年間同じユニホームを着た球友からは「『まだヒット打ってないじゃん』と言われました。そんなユーモアで返してくれて、さすが超一流の選手だなと思いました」と語り「松坂がずっとトップを走ってくれたから、それに食らいついていこうと思ってここまでやって来られた。松坂世代と呼ばれることは、誇りです」と感謝した。

ケガ、病魔と戦い続けたプロ生活。「一番苦しいときに一番近くで見守ってくれたのが、福良さん。オリックスで胴上げできなかったのが一番の心残りです」と明かした。この日の午後0時過ぎに京セラドーム大阪に到着したとき、真っ先に顔を合わせたのが福良監督だった。体調をだれよりも知る福良監督に「あんなことがあったことを思えば、本当によく頑張ったな」とねぎらわれ、涙で目を潤ませていた。

会見でも、日本ハムファンに対しては「いつも拍手で励ましてくださったおかげで、失敗を恐れることなくやって来られた」と感謝したが、オリックスファンには「感謝すると同時に、申し訳なくて」と思うような成績を残せなかったことをわび、涙を浮かべた。

締めくくりはオリックス中島からの花束贈呈。大きな花束を持って現れた中島を見て「やばい…」とつぶやいたとおり、みるみるうちに涙。思い通りに体が動かなくなった無念も、せいいっぱい頑張ってきた充実感も、福良監督やチームメートへの感謝も涙で表現し、12年間を総括した。

今季最終戦になる予定の10月5日、ソフトバンク戦(京セラドーム大阪)で、小谷野の引退セレモニーが行われる。【堀まどか】