阪神金本監督が低迷の責任を取って辞任した。風雲急を告げたのは今季の甲子園最終戦だった前日10日のDeNA戦の試合後だ。金本監督が揚塩球団社長と向き合い、辞意を申し入れた。「結果がすべてで最下位ですから」。1度は慰留された。「いや、もう少し頑張ったら。我々もバックアップするよ」と言われた。それでも覚悟は決めていた。「意思は固いですから」。3季指揮を執っての辞任が決まった。

一夜明けて、午後1時から球団事務所で会見に臨んだ。達観したような表情で時折、笑みも交えた。理由を問われると、キッパリと言い切った。「成績不振です。やり残したことは多々ありますけど結果の世界ですからね。何より最下位というね。そこですよね」。3年目の今季は誤算続きだった。不動の4番に位置づけた新外国人ロサリオが期待外れ。昨季20本塁打の中谷や16年新人王の高山、2年目の大山ら若手も伸び悩み、慢性的な貧打に陥った。チーム打率2割5分3位はリーグ5位で85本塁打はリーグ最低。打開できずに1年が終わった。

15年10月に就任してから全身全霊で再建に臨んだ。「10年かかるところを5年以内でというのが、すごく僕のなかでのブレない目標ではあった。なかなか、選手もケガとか伸び悩んだりとかね。それも我々、現場の責任」。昨オフには3年契約を結び直したが、志半ばでユニホームを脱ぐ。

胸中に辞意が浮かんだのは8日ヤクルト戦(神宮)で敗れて最下位が確定したあたりという。チーム状態は日増しに悪化して風当たりが強くなる中、4日には巨人高橋監督も辞任を発表していた。「やっぱり、結果で問われるのは巨人、阪神。そこは一緒だと思う。巨人は3位でも辞めないといけない。僕は最下位ですから」。人気の伝統球団を率い、悩み、惑い、最後は潔く覚悟を固めた。今季最終戦となる明日13日の中日戦(ナゴヤドーム)が最後の指揮となる。【酒井俊作】