10月28日は、プロ野球読売巨人軍監督として、前人未到の9年連続リーグ優勝、9年連続日本一の偉業を成し遂げた、川上哲治氏(享年93)の命日にあたる。

現役時代は『打撃の神様』と称され、「ボールが止まってみえる」と名言を残しながら、プロ野球史上初の通算2000安打を達成した(2351安打を記録)。

「不動の4番」で、打率3割超えを12回も達成した。51年にマークした3割7分7厘は、86年阪神バース(3割8分9厘)に抜かれるまでセ・リーグ記録だった。

名選手で、名監督だった。メジャー流の「ドジャース戦法」を採用し、海外キャンプ、報道陣のグラウンドへの立ち入りを禁止した「哲のカーテン」、スコアラー制を採り入れた。

監督通算1866勝1066敗739分け。組織を束ねる意味の「チームプレー」「特訓」という造語を発案したのも川上氏。長嶋、王らを育てながら、巨人を常勝チームに導いた。

その川上氏は、5年前の13年10月28日、原監督率いる巨人と、星野監督の楽天との日本シリーズ中に、教え子たちを見守るかのように天国へと旅立った。

今、“球界のドン”は都内の墓に静かに眠っている。秋晴れのこの日、故人をしのんで、関係者によって色鮮やかな花が供えられていた。

長男貴光(よしてる)氏は「きっと墓の下で強い巨人軍の復活を願っていると思います」と語った。【寺尾博和】