広島菊池涼介内野手(28)が21日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、球団へポスティングシステムによる米大リーグ挑戦の意思を伝えた。交渉では5000万円増の年俸2億4000万円でサインし、最後に思いを直訴。主力が抜けて大黒柱の期待と責任がかかる来季に向け、自らを奮い立たせる表明となった。海外FA権を取得するのは最短で21年で、早ければ来季オフの挑戦を希望する。

契約更改後の会見で菊池涼は自ら語り始めた。「来年(国内)FAということで、みなさん気になっていると思いますが、ポスティングの方をお願いしますと伝えました。野球をやっている以上、トップのレベルでやりたい」。胸に秘めていた米大リーグ挑戦の意思を初めて公にした。

17年日本代表としてWBCを戦い、世界を肌で感じた。広島で見せてきたように驚異的な守備力でチームを救った姿はMLBの公式サイトで紹介され、高く評価された。最高峰での戦いに刺激され、米大リーグへの思いを強くした。今年は11月の日米野球にも出場。「WBCとは違った雰囲気だったので、あの頃とはちょっと違う気持ちでプレーした。間近で見たら一緒にやってみたいなというのがやっぱりあった」。自分の思いを再確認した。

交渉では5000万円増で、球団の日本人選手最高年俸となる2億4000万円でサインした。米球界挑戦の思いを告げたのは最後。「成績を残さなければいけないので、自分にハッパを掛けるつもりで伝えました。自分のモチベーションを上げるためにもですし、何より行ってみたい、やってみたいと言わなければ、向こう(米球界)の人たちにも見てもらえない」。海外FA権の取得は早くて21年。1年でも早く海を渡りたい思いがある。それ以上に今季ふがいない成績に終わった自分を奮い立たせる意味合いが強かった。

菊池涼が「お兄ちゃん」と慕った新井は引退し、長くコンビを組んできた丸が巨人へFA移籍した。「頼れる2人がいない不安な部分もある。これも転機と思って、自覚を持ってやれるチャンスだと思います」。今季は打撃面で精彩を欠いたが、主力2選手が抜ける来季は攻撃面でも目に見える貢献度を求められる。「大きい穴を埋めるためには成績を残さないといけない。それが大前提」。攻守に輝いてこそ、チームと自分の夢も近づく。【前原淳】(金額は推定)