中日松坂大輔投手(38)が1日、ドラフト1位根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)に「勘違い」を勧めた。

沖縄キャンプ初日のチーム写真撮影で初対面。自分と同じ甲子園春夏連覇を達成した大物ルーキーのオーラを感じ、1年目から「やれると思っていた。勘違いしてもいい」と経験談をもとにエールを送った。この日は背番号「18」を初披露した。

日米通算170勝のレジェンド松坂が、根尾へプレゼントを贈った。「学問ノススメ」ならぬ「勘違いの勧め」だった。北谷球場での1、2軍合同の写真撮影後、右ふくらはぎの軽い肉離れのリハビリで2軍スタートの根尾が松坂の元に駆け寄ってくると、「ケガしたところは大丈夫?」と優しく声をかけ、握手した。

「いい顔をしているなと思った。ルーキーらしい初々しさがありながら自信もあるんだな。頼もしい面構えに見えた」

松坂は初対面した大物ルーキーに20年前の自身を投影していた。横浜のエースとして98年の甲子園で春夏連覇を達成し、ドラフト1位で西武に入団。18歳で、常勝軍団を支える投手陣の中に飛び込んだ。「先輩たちのすごいボールを見ても引くことはなかった。勘違いでもいい。僕はやれると思っていた」。西口や石井貴、豊田、西崎、デニーらそうそうたる先輩がいる中、周囲に惑わされず「勘違い」という自信を貫き、新人で最多勝、新人王などのタイトルを獲得。エースからメジャーへ、そして現在につながる原点とも言える哲学だった。

当時と根尾を重ね合わせるように「他の選手にない華、どこにいてもパっと分かる、そんな雰囲気を持っていた。(根尾も)勘違いしてもいい。あのままの雰囲気でいてほしい」と語り、同じ甲子園春夏連覇のスター候補生へ報道陣を通じてエールを送った。ただ、根尾は「金言」を伝え聞いても、「高校生の野球のレベルしかやっていない。しっかり経験を積みたい」と冷静に言葉を選んだ。

松坂はテスト入団の昨年と違いスロー調整でキャンプイン。初日はブルペンに入らずノック、ランニング、バント練習で軽く汗を流した。1軍の北谷球場から筋トレのため移動した2軍の読谷球場で根尾に再会。「どんなふうに呼んだらいい?」と問いかけると「何でもいいです」と返ってきた。年は親子ほど違うが、同じ匂いを感じた松坂がほのぼのムードを演出し、大物ルーキーの背中を優しく押した。【伊東大介】

◆松坂は全体写真の撮影で、ソフトバンク以来、2年ぶりの背番号18のユニホームを披露した。その後の練習はウインドブレーカーを羽織った。「いいスタートを切れた。昨晩、広げてみてワクワクする気持ちになった」。少年時代は元巨人の桑田真澄氏に憧れ、「18」にこだわってきた。西武でもレッドソックスでもつけており「18番をつけたことの覚悟、責任は感じている」と表情を引き締めた。昨年は11試合6勝4敗でカムバック賞を受賞。今季は2ケタ勝利にこだわる。

<松坂大輔のプロ1年目春季キャンプ>

98年ドラフト1位で横浜高から西武入りした松坂は、高知・春野での1軍キャンプに参加した。2月1日の初日には、投内連係で二塁へ剛速球で送球し先輩を驚かせた。キャッチボールでは先輩の西口とペアを組んだが、落ち着きはらっていた。3日目に初めてブルペンに入り、小雪の舞う中全球ストレートで99球。「70%の力」と言いながら、140キロ超えの快速球を連発した。2月28日のオープン戦阪神戦でプロ初実戦となる先発登板を果たし、2回2安打3奪三振。3月28日のオープン戦横浜戦では、6連続を含む11奪三振の離れ業。公式戦では16勝を挙げ最多勝、さらにベストナインと新人王も獲得。他を圧倒するプロ1年目だった。